あなたは誰に今の仕事を託しますか?:あなたも部下も成長する後任育成

あなたは誰に今の仕事を託しますか?

前回の記事では、人生で最も価値のある「最良」のことに時間を割くために、デリゲーションが効果的というお話をしました。

「最良」を選び取る 「最良」を選び取るための分かち合い:デリゲーションのその先にあるもの

今回は、特に部下を持つリーダーの皆さんに向け、後任の育成という目線でのデリゲーションについて掘り下げていきます。
もちろん、デリゲーションを受ける側の立場の方にも、この視点から記事を読んでいただくことで、ご自身の成長につながるヒントを見つけていただければ幸いです。


私は組織で働いている時は常に、もし今自分が異動になったら、「この組織を誰に託すか?」と自問自答していました。
当時の理想は、部下から「私たちがやっておくので、もう会社来なくてもいいですよ」と言われること。
組織が自分抜きでも円滑に機能し、私は休みたい時に休み、日中はのんびりコーヒーを飲みつつ長期計画を練るような状況を夢見ていました。
実際は、人を育て、仕組み化し、組織や仕事の効率を上げるほど、管理する組織が大きくなり、楽にはなりませんでしたが…

後任を育てることは、自分自身が最も価値のある仕事に集中できるようになるために欠かせない行為です。
デリゲーションは、自分だからこそできる仕事に専念するためのステップです。
後任を育てるに当たって、いくつかの心構えをご紹介します。

部下を育成して自己の限界を超える
あなたが組織で一番優秀な人材であることは、一時的な満足感をもたらすかもしれません。
しかし、その状態では、あなたがひたすら先頭に立って働くことが求められ、あなたが休むと組織全体が停止してしまうリスクが生じます。
そして、いつか能力だけでなく時間的な限界があなたに訪れた時、それが組織の限界にもなってしまう恐れがあります。
自分と同等の能力を持つ後進を育成することは、あなたに休息の余地をもたらすだけでなく、個人では不可能だった大きな成果を実現するチャンスを創出します。

仕事を部下が引き受けられるように細分化する
あなたのように優秀な人材がなかなか見つからず、すべての仕事を一人に任せるのは困難だと感じているかもしれません。
私の場合も、一人に全てを託せるときもあれば、補佐役を配置して責任を分散させたり、あるいは部署を分割したりするなどのアプローチを採りました。
デリゲーションでは、自分の仕事をそのまま部下に押し付けるのではなく、仕事を細分化して部下が扱える範囲に調整することが重要です。
そして、部下が一つのタスクに慣れたら、次のステップに進むように段階を追っていくのが理想的です。

後任への目標設定
もし後任とあなたとの間にギャップがなければ、すぐに組織の指揮を委ねることができるでしょう。
しかし、そうではない場合、何らかの差異が存在するはずです。
後任に組織を任せられるために必要なスキルや知識は何か、具体的に洗い出しましょう。
理想は、後任が達成すべき目標をリストアップし、その目標を彼らの個人的な目標に組み込むことです。
日々の進捗を追跡し、達成に向けて指導することで、スムーズに後任を育てることが可能になります。

一段上の視点を持つ
後任があなたの仕事を引き継ぐことは、彼らが従来よりも高い視点で仕事をする可能性を意味します。
単なる部下の視点から脱却し、上司としての視点で物事を考えることで、より迅速に成長することが期待されます。
同様に、上司があなたの業務を評価するように、あなたも一つ上の役職からの視点で部下へのフィードバックを行うべきです。
後任を育てる過程は、あなた自身も含めた全員がより高い視座を持つことへと繋がります。

期待値の明確化
部下に対して何を期待しているかは、はっきりと伝えましょう。
これは、彼らが後任候補であるかどうかにかかわらず重要なことです。
仕事量が増え、より高度な業務が要求される中で具体的な指示や期待が伝わっていなければ、部下は不安や誤解を抱くかもしれません。
あなたの意図を部下と共有することは、信頼関係を築き、目標に向けて進むために不可欠です。

部下が辞めないために必要なこと:見えない期待値を抱かない 部下が辞めないために必要なこと:見えない期待値を抱かない

適切な人材の採用
組織内に適切な後任がおらず、組織の分割も難しい場合は、新たな人材を外部から採用する選択肢もあります。
ただ、後任を現場から選ばなかったという事実に、少なからず不満を感じる部下もいるかもしれません。
また、採用には時間もコストも大きくかかるため、その必要性は慎重に評価する必要があります。
採用する際は、候補者のスキルはもちろん、その人物の人格的側面や企業文化に適合するかどうかも重要な考慮事項です。
採用のミスマッチは、組織への適応と継続的な貢献を阻害し、既存の社員への影響も大きくなるため、慎重な選定が求められます。


日頃から自分の役割が他の誰かにも引き継がれるように仕事を進めることで、属人化を防ぎ、組織の柔軟性と持続可能性を高めることができます。
日々の業務においてマニュアル化や仕組みづくりを心がけることは、予期せぬ人事異動や退職が発生した際にも迅速に対応できる組織体制を築く上で効果的です。
後任の育成は確かに労力と時間を要しますが、それは同時にあなたと組織の成長へと直結する投資なのです。

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