部下が育つ3つのプロセス:指示をするだけ、背中を見せるだけでは、もう部下は育たない

部下が育つ3つのプロセス:指示をするだけ、背中を見せるだけでは、もう部下は育たない

部下を育成する際、あなたは何を最も重視しますか?

部下が成長し、仕事で成果を上げる姿を見るのは、指導者にとって大きな喜びです。
しかし、一方で、指導を行っても思うように成長しない部下に直面することもあります。
そんな時、あなたは「この部下は理解が遅いのかもしれない」と考えがちではありませんか?

スティーブン・R・コヴィー博士の著書『7つの習慣』には、教育の現場での「自己達成予言」についての興味深い逸話が紹介されています。
ある学校で、誤って優秀なクラスと劣等なクラスが入れ替わり、教師も誤認したまま教え続けた結果、生徒たちの成績が教師の期待に合わせて変化しました。

一方、本当は「劣等生」だったはずの生徒たちのIQは上がっていた。教師はこの生徒たちを優等生として扱い、一人ひとりの生徒に対する教師の期待が生徒自身にも伝わり、子どもたちは熱意と希望を持って積極的に授業に取り組んだ結果だった。

『7つの習慣』

この話から、部下の能力が限定されているのではなく、むしろ我々の期待と指導方法が重要であることが分かります。

今回は、部下の育成において、指導者が心がけるべき点に焦点を当ててみましょう。


効果的な部下の育成には、以下の3つのポイントを心がけましょう。

  1. やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、褒めてやる
  2. 何ができたら、「できた」と言えるのかを明確にする
  3. その部下にはできる、とあなたが信じる

1. やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、褒めてやる
これは山本五十六氏の名言1ですが、人材育成の要点がよくまとまっています。

人が何かを学ぶ際、最も上達が早いのが真似ることです。
その際、背中を見て覚えろだと、相手の能力に大きく依存することになります。
まず、リーダーとして、実際にその作業を行い、その過程を解説します。
これにより、部下は直接的なお手本を得ることができます。
例えば、新しいソフトウェアツールを使用する際は、その操作手順を実演しながら詳しく説明します。

次に、部下にも実際にその作業を行ってもらいます。
「わかる」と「できる」の間には大きな差があるため、理論的な知識を実際の行動に変えさせることが重要です。

フィードバックを与える際には、肯定的な言葉遣いを心がけます。
「上手にできたね」という一言でも、部下は大きな自信を得ます。
一方で、改善が必要な部分は、具体的かつ建設的な方法で指摘し、どのように改善すれば良いのかを一緒に考えましょう。

2. 何ができたら、「できた」と言えるのかを明確にする
「教える」というプロセスを終えた後、次に考えるべきは、部下が独立して作業を行うための準備が整っているかどうかです。
単に知識を伝えるだけではなく、部下が自分の仕事を担えるレベルに達していることを確認する必要があります。

これを実現するためには、具体的な目標を定め、「これができれば合格」という明確な基準を設け、チェックリストを作ります。
それぞれの項目は数値化することが理想的です。
数値化できないスキルの場合は、明確な行動指標に基づいて評価するようにしましょう
具体的な目標を設定することで、部下の成長を適切に評価し、彼らが独立して仕事を行う準備ができているかを判断できるようになります。

3. その部下にはできる、とあなたが信じる
新しい挑戦に直面すると、多くの人は不安を感じます。
特に完璧を求めがちな日本の職場環境では、自信の欠如が見られることも多いです。
このような状況で、部下が「できる」と感じられるようにするのは、上司であるあなたの役割です。

前述の「自己達成予言」の逸話は、信頼と期待がどのように成果に結びつくかを明示しています。
あなたが部下を信じ、サポートすることで、彼らは自分の能力を最大限に発揮することができるのです。

人によっては時間がかかるかもしれません。
しかし、「うまくいかなかいのは教え方に問題があるのだと思い、教え方を工夫」2することで、劣等生の知力も上がりました。
あなたが部下を信じ、できることから少しずつチェックリストを埋めていければ、必ず部下はできるようになるのです。

部下を信じ、その信頼を具体的なサポートと肯定的なフィードバックで表現することで、彼らは確実に成長し、任せた仕事を成功させることができるでしょう。


部下を育成する過程は、単に知識を伝える以上のものです。
情報は簡単に手に入る時代ですが、その情報を実際に理解し、活用できるようにすることは、容易なことではありません。
インターネットで「ググる」ことができても、実際にスキルとして身につけるまで導くのは、別の技術が必要です。

現代の職場では、事業のスピードが速くなり、従来の「見て学ぶ」方法だけでは十分ではなくなっています。
私自身、職人気質を重んじる一方で、現代のニーズに応じた育成方法の必要性も理解しています。

効果的な育成を行うためには、リーダー自身が進んで学び、部下に具体的な指導を提供する必要があります。
また、部下の能力に頼るのではなく、彼らが自らの力で成長できるようにサポートすることが重要です。

部下と共に成長するためには、指導者としての覚悟と、教育のための継続的な努力が必要です。
この姿勢を持つことで、部下の能力を最大限に引き出し、共に成長することができるでしょう。


部下やチームの育成に頭を悩ませているリーダーは少なくありません。
一人で考え込んでしまうと、時には重要な視点を見落としてしまうことがあります。
私のクライアントの中には、私からのたった一つの問いによって、育成の課題に対する新たな解決策を見出した方もいます。
このように、新しい視点を取り入れるだけで、状況が好転することもあります。

日々の業務に追われ、人間関係に振り回される中で、視野が狭くなるのは自然なことです。
このような時、第三者からの客観的な意見は、解決の糸口になり得ます。

部下やチームの育成で新しいアプローチが必要と感じたら、共創型コンサルティングのサポートを検討してみてください。
私たちは、あなたとあなたの組織の成長に伴走いたします。


脚注

  1. 「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」 ↩︎
  2. 『7つの習慣』 ↩︎

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