目標・戦略・戦術に必要な目的:たどり着きたい未来に必要なこと

目標・戦略・戦術に必要な目的:たどり着きたい未来に必要なこと

前回は1年後に友人にどのように紹介してもらいたいかという視点から、この1年の行動を計画してみましょうというお話をしました。

あなたは1年後、誰にどのような場で何と紹介されたいですか? あなたは1年後、誰にどのような場で何と紹介されたいですか?

中には長期的な目標は立てづらいという人もいるかもしれません。
VUCA1と言われる予測困難な時代において、目の前のことは分かっても、先のことなんか分からないという人も多いでしょう。
新規にどれくらい顧客が付くかわからない、新商品がいつ開発できるかわからない、取引先次第なことが多い、上からの指示がコロコロ変わるなど、計画を立てる上での不確定要素は挙げ出したら切りがありません。

以前、税理士の方が、経営計画書は予測を書くのではなく、経営者の「意志」を書くものだとおっしゃっていました。
先々がわからないから計画を立てないのではなく、先がわからないからこそ、明確な意志を持って日々行動することが大切になります。

目標をより明確にする目的を設定する

皆さんは、目的と目標を正しく使い分けられていますでしょうか。
目的とは目指すべき「的」であり、目標はその的に至るための「標し(しるし)」です。

「この1年、このようなことが達成できたら良い」と設定できたら、なぜそれを達成したいのかを考えましょう。
前回の記事でいうと「このように紹介されたあなたは、更にどんなことが得られていますか?」という問いに対する答えが、目的に当たります。
目的をはっきりさせずに目標だけを追ってしまうと、途中で目標がブレたり、到達してみたら梯子を掛け間違えていたということにもなりかねません。

本来は目的があってこその目標ですが、目標から決めたのであれば、なぜそれを達成したいのかと問うことで目的を明らかにできます。
そして、もし明確な目的が見つからなかったり、違和感を覚えたりするようなら、目標を見直しましょう。
目標はただの標しなので、目的に合わせて柔軟に変更して構いません。

適切な行動を取るにも目標は欠かせない

これは目標設定だけにとどまりません。
その目標を達成するための戦略と戦術にも同じことが言えます。

戦略とは「具体的・実際的な「戦術」に対して、より大局的・長期的なものをいう2」とあるように、具体的な行動(戦術)を取るための方針が戦略になります。

目的、目標、戦略、戦術の関連性

目的、目標、戦略、戦術を山登りに例えて言うなら、以下のような感じになります。

  • 目的:素晴らしい景色をみる
  • 目標:山の頂上
  • 戦略:登山ルート
  • 戦術:登り方(徒歩、ロープウェイ)

登山ルートが決まっていなければ、登り方も行き当たりばったりになります。
その状態で目の前に現れたロープウェイに飛び乗ったら、目標とは違う山頂に連れて行かれたなんてことが起こり得ます。

目標を達成するのに目的が必要なように、戦術を選ぶにも戦略がまず必要なのです。

では、目標を立てずに戦略を立てることはどうでしょうか。
先程の例では、決めた登山ルート(戦略)に沿って登り方(戦術)を適切に選べるようにはなります。
しかし、その登山ルートの先にある頂から見える景色が、本当に見たかった景色とは限りません。
目的、目標、戦略、戦術がすべて整って始めて、本当に目指したい頂にたどり着ける準備が整うのです。

目標は積み上げでは達成されない

1年の目標を決める理由は、達成目標に期限を設けるためです。
その期限から逆算して、日々どういう行動がどれくらい必要なのかが決まります。

もちろん1年間の具体的な行動計画全てを最初から作る必要はありません。
それはむしろ計画の柔軟性を損なうことにもなるでしょう。
1年を逆算していくには、以下の手順を参考にしてみてください。

  1. 1年を3ヶ月毎に区切って、それぞれどういう状況にまで達していたいかを明確にする
  2. 最初の3ヶ月をひと月毎に明確にする
  3. 初月の行動計画を立てる

こうしてできた行動計画を一つ一つこなしていくことで、1年後に得たい目標に到達できます。

もし、ここで1年という区切りを付けなかった場合は、その時々で思いついた行動を取っていくことになります。
日々の行動量も、その日の気分や忙しさによるでしょう。
日々の積み重ねは大切ですが、期限がない状況で日々を積み重ねると、いつその目標が叶うのかはわかりません。
最悪の場合、未達で終わることもあります。

目標は積み上げではなく、期限を決めて逆算で行動していく必要があります。
そのためにも、1年の目標は立てましょう。

具体的な目標はなくても良い


とはいえ、具体的な夢や目標がないという人もいるでしょう。
その場合でも、1年後にどういう生活ができていると満足できるか、どんな風に仕事ができていたら良いかなどを考えてみましょう。
生活の場や職業、働く場所は、戦略や目標にはなり得ても、目的ではありません。
1年後にこうありたいなぁと思うことから、それを達成したら得られること(目的)を見つけ、その目的に至るための情報を集めることから始めても良いでしょう。

それがたとえ現状維持だとしても、現状の生活を維持するために職を失わない、周囲との関係性を壊さないなど、意識してできることはたくさんあります。
息抜きや充電期間の年にしたいのであれば、1年後にリフレッシュしているために、この1年をどう過ごすのか考えられます。

具体的な目標はなくても、1年後にどうありたいか、ぜひ想像してみてください。


私たちの脳は、私たちが意識したものに焦点を当て、必要な情報を拾い上げます。
漫然と日々を過ごしていると、脳は習慣に基づいた自動運転モードに入り、過去に取った行動をただ繰り返します。
脳にしっかりと働いてもらい、目新しいことに意識を向けるためには、私たちがまず目標を立てる必要があります。

水面に小石を投げると波紋が大きく広がっていくように、小さな行動でも起こせば、そこから何かが動き出します。
1年後がイメージできなければ、今日をどう過ごすか想像するだけでも変化は起こります。

いくら想像しても、どんな未来がやってくるかはわかりません。
VUCAの時代には、始めから正解を選択することはもはや困難です。
しかし、こうありたいという意志のもと、選択した道が正解になるよう行動していきましょう。


「具体的な目標はあるけど、どう行動したら良いかわからない。」
「今いま具体的な目標がなく、一人では考えられない。」

このような方にはフューチャーマッピングが最適です。
フューチャーマッピングは誰かを120%ハッピーにするストーリーを描きながら、目標を具体的にしたり、行動計画を導き出したりする創造的課題解決手法です。
1年を目標もなく過ごしたくない、停滞している計画を動かしたいという方は、ぜひ体験してみてください。


  1. VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4単語の頭文字をとったもので、ビジネスや社会の未来予測が困難になっている状況を表す。 ↩︎
  2. 戦略(せんりゃく)とは? 意味や使い方 – コトバンク (kotobank.jp) ↩︎

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