「アドバイスをもらったが、役に立たなかった」と感じることはあるでしょう。
私たちがアドバイスを提供する際も、そのアドバイスが相手にとって本当に有益か、また相手がどのように受け取ったのか考えたことはありますか?
良いアドバイスを提供するためには、ただ正しいことを言うだけではなく、相手の状況や感情を理解し、相手がそのアドバイスを実生活でどう活用できるかを考慮する必要があります。
この記事では、効果的なアドバイスの提供方法と、その際に注意すべき点について考察します。
信頼関係を損なう求められていないアドバイス
あなたはどういう時にアドバイスを行いますか?
多くの場合、誰かから相談を受けたときにアドバイスを提供するでしょう。
しかし、相談されたからといって、相手が実際にアドバイスを求めているとは限りません。
時には、ただ話を聴いてほしいだけのケースもあります。
例えば、夫が妻の話に対して、会社のノリでアドバイスをしてしまい機嫌を損ねてしまうことはよくある話です。
頼まれてもいないのにアドバイスを提供することは、信頼関係を損なう可能性があります。
「ニーズなきところにサプライ無し」
これはアドバイスにおいて特に重要なポイントであり、アドバイスは相手が求めているタイミングで提供する必要があります。
相談の8割は自己解決できる
心理学NLPを活用したコーチングのトレーニングには、アドバイスと傾聴の比較を行うワークがあります。
具体的には、あるトピックに対して10分間アドバイスを提供するセッションと、10分間ただ聴くだけのセッションが設定されます。
アドバイスを提供するセッションでは、相談者は「そうじゃないんだけどなぁ」や「わかっているけど…」といった不満を感じます。
一方、ただ聴くだけのセッションでは、「もっと話して」や「それで?」以外の言葉は禁止され、相談者は状況を詳しく話すよう促されます。
面白いことに、相談者はただ聴かれているだけなのに、半数以上が5分ほどで自己解決に至ります。
相談された状況や、何を望んでいるのか、どう行動すれば良いのかについて、最も理解しているのは相談者自身です。
相談する時点では、相談者はそれらを整理したり、認識したりできていないだけなのです。
「もっと話して」と促すことで、現在の状況や欲求、必要な行動が明確になります。
このプロセスを通じて、相談者は自然に問題解決の道を見つけることができるのです。
アドバイスが求められる瞬間
相談者が自分の状況や考えを整理しても、時には解決に至らないことがあります。
また、より良い解決方法が存在する可能性もあります。
特に相手が知識や経験に不足を感じている場合、アドバイスが必要になるでしょう。
しかし、「この人は分かっていないな」とか「教えないといけないな」と感じても、すぐにアドバイスを提供するのは避けましょう。
相手が「どうしたら良いのか?」とアドバイスを求めてから、アドバイスを提供するのが適切です。
ここで気をつけたいことは、あなたが相手の状況を正しく理解できているかどうかを確認することです。
情報が不足している場合は、アドバイスを提供するのではなく、さらに質問を続けましょう。
また、「どうしたら良いと思いますか?」と問いかけ、一度相手に考えさせることも大切です。
全ての情報が出揃い、これ以上の情報が得られないと感じた時に初めて、あなたがアドバイスを提供する準備が整うのです。
活きたアドバイスとは
アドバイスを提供する際は、以下の点を心得ておきましょう。
「あなたの成功体験は、あなたの知識と経験、そしてその時の状況が組み合わさって成り立っている」
これは知識を共有する際にも同様です。
あなたの知識や経験、そして理解力が組み合わさって初めて、有益な情報となります。
つまり、あなたのアドバイスそのものは「相手にとって必ずしも役に立つとは限らない」ということを意味します。
提供したアドバイスが優れたアイデアであったとしても、他人からのアドバイスを実行する人は少ないのが現実です。
「参加しなければ決意なし」1と言われるように、自分でアイデアを導き出すプロセスを経ていない場合、そのアイデアに対する熱意を持ちづらいものです。
「ああしろ、こうしろ」と指示されても、自主的な動機付けが生まれず、実行に移すことは難しいのです。
そこで、アドバイスを提供した後は、「そのアドバイスをあなたの状況でどう活用できるか?」と相手に問いかけることが重要です。
この問いかけがなければ、相手はその場ではアドバイスをありがたく受け取るかも知れませんが、「◯◯さんだからできたこと」や「私の状況には合わない」といった言い訳を見つけ、実行に移しません。
あなたの成功体験はあなたの状況で得られたものなので、相手の状況でどう活かせるかまでを一緒に考えることで、実行への障壁を取り除くことができます。
アイデアを導き出す思考プロセスに相手を参加させることで、アイデアに対する熱意を育みます。
これにより、アドバイスは実際の行動へとつながり、有意義な結果をもたらします。
アドバイスを提供する目的が自己満足であるなら、細かく考える必要はありません。
しかし、相手のことを思い、力になりたいと考えるのであれば、アドバイスの提供方法には工夫が求められます。
また、アドバイスを提供した後には、その効果を確認し、必要に応じて改善の議論を行うことで、お互いの信頼関係を深めることができます。
良いアドバイスを提供するために、以下の点に注意しましょう。
- 相手の状況を理解する
「もっと話して」「それで?」と問いかけ、相手の状況を深く理解する努力をしましょう。 - 相手のアイデアを尊重する
「どうしたら良いと思いますか?」と問いかけ、まず相手のアイデアを聴きましょう。 - アドバイスを相手の状況に合わせる
「あなたの状況でどう活かせるか?」と問いかけ、アドバイスを相手の状況に適応させる方法を探りましょう。 - 効果を確認し、継続的なサポートを提供する
後日、アドバイスの効果を確認し、必要に応じてさらに話し合い、サポートを提供しましょう。
効果的なアドバイスを提供することは、理解していても実際には難しいかもしれません。
特に、組織の課題が山積している中で、相手に主体的な行動を促すようなアドバイスを提供するのは困難です。
もし、組織の課題解決に向けてサポートが必要と感じているのであれば、「共創型コンサルティング」のサービスをご検討ください。
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