信頼関係を崩す鍵は私たちの手の中にあった

信頼関係を崩す鍵は私たちの手の中にあった

あなたは、誰かと話をするとき相手のことを観ていますか?

人と話をするときは「相手の目を見て話しなさい」と子供の頃はよく言われました。
心理学NLPでも、相手の目の動きで何を考えているのか大体わかることを教えてもらいます。

相手の目を観て話すと、話す側も聴く側も真剣さが現れます。
その一方で、悪い報告をしているときは、相手の目を見づらいですし、相手から凝視されると圧を感じます。
また、コーチングでは向かい合わずに斜め横に並ぶことで、コーチの目線に相手が影響されづらくもします。

意識的にコントロールされた目線は、コミュニケーションを行う上で大切な役割を担います。
しかし、私たちは無意識に目線を外したコミュニケーションを取りがちです。
例えば、仕事をしているときに話しかけられて、PCから目を離さずに話を聞く、家でテレビを観ているときに話しかけられて、テレビから目を離さないなど、思わず「聴いている?」と確認したくなることもあります。
見当違いの回答が返ってくるとイライラもつのります。
このような「ながら会話」は、相手との信頼関係を損なう原因になってしまいます。

使用禁止にされたノートPC

最近の仕事で配布されるPCは、持ち運べるようにノートPCが多いのではないでしょうか。
私の在籍していた楽天では、ほぼすべての人がノートPCを会議室に持ち込んで会議をしていました。
資料の投影が誰でもできたり、議事録を書いたり、その場で調べ物をしながら会議を進めるには便利になりました。
しかし、その会議とは関係のない仕事をしている人も増えました。
特に忙しいマネージャクラス以上の人たちは、メッセージアプリで様々なやり取りを会議中にもしています。
忙しい身分だから仕方がないと言えばそうですが、その会議に100%集中していないのも確かです。

このためか、三木谷社長との会議では、議事録を書く人を除いてPCの使用が禁止されました。
緊急対応用に持ち込むことはできますが、会議が始まると閉じさせられます。
すでに楽天を離れているので今でも続いているのかは分かりませんが、参加者を会議に集中させるための良い施策だと思います。

信頼関係を壊す通知

先日、ある方のセッションで、奥さんとの関係について扱いました。
いろいろと話を伺う中で、奥さんと二人でいる時でも、よくスマホを見ていることに気づかれました。
片や、奥さんはバッグにしまったまま、彼がトイレに立つ時などに確認するくらいだと。
奥さんよりもスマホに意識が向いていたことに気づかれました。

PCやテレビから目を離さずに話を聞くだけでも信頼関係を損ないますが、今やスマホが一番信頼関係を壊すツールだと感じます。
話をしている最中に鳴ったスマホに反応することは、目の前にいる相手よりもスマホを優先していることを示しています。
これは電話だけでなく、メッセージアプリやSNSなどの通知でも一緒です。

そもそも通知音は私たちの意識を向けさせるためのものなので、鳴るだけでその場にいる全員の集中力を奪います。
また、バイブ音や振動も、通知音ほどではないにせよ同じ効果をもたらします。
いつでもどこでも連絡ができる、情報を拾えるという便利さと引き換えに、私たちは信頼関係を犠牲にしている可能性があるのです。

何を大切にするのか?

GoogleやAppleなどのコーチを務めたビル・キャンベルについて書かれた『1兆ドルコーチ』には、以下のようなエピソードがあります。

練習中に呼び出し音が鳴ると、ビルはポケットからスマホを取り出して発信者を確認し、子どもたちにそれをチラッと見せてから、スティーブ・ジョブズの電話に応えず、またポケットにしまった。「あの1時間の練習のあいだは、ビルにとって何より大切なのは僕らだということに一番シビれた」とある選手は言う。「ビルの全神経が僕らに注がれていた」

『1兆ドルコーチ』

この時ビルは、ジョブズよりも目の前の子どもたちを優先しました。
その信頼の高まりようは大きかったことでしょう。

もちろん、何がなんでも目の前の相手を優先すべきというわけでありません。
相手が話しかけてきたとき、仕事やプライベートで大切な連絡を待っている、もしくは本当に興味のある情報を観ていたならば、その事を相手にきちんと伝えましょう。
中断されるかもしれないと分かっていれば、それを前提に話をしたり、時間に余裕ができるまで待ったりと、相手にも選択肢が与えられます。

その時々で、自分が何を優先すべきなのかを決め、相手に今優先したいことを伝えることが信頼関係を損なわないために必要なことです。


あなたは、誰かと話をするとき相手のことを本当に観ていますか?

私たちが何に意識を向けるかによって、何を大切にしているかを相手に伝えることができます。
これは無意識に行われたとしても、相手に伝わるということでもあります。
今一度、誰かとコミュニケーションを取っている時のことを思い出してみましょう。
そして、何か改善すべき点が思い起こされるのであれば、今後はどうするか考えてみましょう。


私たちは普段自分がどんな行動を取っているか気づかないものです。
それらの多くは無意識に行われているからです。
無意識に人生に与えている影響、誰かに与えている影響は様々です。
もちろん、悪い影響ばかりでなく、良いこともあります。

コーチングのクライアントは、セッションの中で自分の行動を客観視し、多くのことに気づきます。
改善すべきこともそうですが、当たり前だと思っていたことが強みだったと発見することもあります。
なんとなく人生がうまく行っていないように感じるという場合、第三者に話を聴いてもらうことで自分を客観視できます。
あなたの盲点に光を当てるのがコーチの役目でもあります。
一人で悩んでいることがあれば、聴く専門家のコーチと一度話をしてみてください。
きっと、今気づいていないことに目が向くでしょう。

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