おはようございます。Life Quest Allianceの福永です。
あなたは電話番号をどれくらい覚えているでしょうか?
私が子供の頃は、何人もの友達の電話番号を覚え、何も見ずに電話をかけられていました。
しかし、今は自宅や実家の番号や自分の携帯くらいでしょうか。
同じように、漢字も読めるけど、書くとなると調べないといけないものもチラホラ。
入力ソフトの予測変換に頼り切っている面が強くあります。
文化やテクノロジーが進化するに連れて、私たちの能力は一見衰えていくようにも見えます。
しかし、それは「能力の低下」ではなく、「能力のシフト」なのかもしれません。
AIがもたらす能力のシフト|「書く」から「話す」時代に我々が持つべきもの
今、まさにプログラミングの世界でこれと同じ、あるいはそれ以上に劇的な変化が起きています。
かつては、JavaやPythonといったプログラミング言語の文法を覚え、フローチャートを自力で描き、一文字の打ち間違いも許されない世界がプログラミングでした。
文法書を片手にエラーと格闘し、アルゴリズムを構築する。
その「手を動かす作業」そのものに価値があったのです。
しかし、今はどうでしょうか。
VS Codeのような高度なエディタがリアルタイムで間違いを指摘し、文法を補完してくれます。
そして何より、AIの進化が決定的な変化をもたらしました。
「こういう機能が欲しい」と自然な日本語で伝えるだけで、AIが瞬時にプログラムを書き上げてしまいます。
プログラミング言語を学んだ経験がない未経験者であっても、AIという相棒がいれば、かつて数人がかりで数週間かけていたシステムを数時間、数日で形にできてしまうのです。
この現状を見て、「エンジニアの価値がなくなる」と不安を覚えるエンジニアは多いでしょう。
あるいは、自社の開発チームの生産性に疑問を感じている経営者や管理職の方もいるかもしれません。
ですが、歴史を振り返れば、これは決して恐れるべき事態ではないことが分かります。
かつて電卓が登場したとき、そろばんや暗算の達人はその役割を奪われました。
しかし、人類は計算することから解放されたことで、より複雑な統計解析や大規模なデータ分析という、それ以前には想像もできなかった新しい能力を手に入れたのです。
現在のプログラミングにおけるAIの台頭も、まさにこれと同じでしょう。
パンチカードから機械語へ、そしてPythonなどの高級言語へと進化してきた歴史の延長線上に、今「自然言語(日本語や英語)」という次世代のプログラミング言語が登場したに過ぎません。
昔、楽天の三木谷さんが「営業もプログラムを書けるようになれ」と仰っていましたが、AIがその実現を後押ししてくれています。
これまでは人間がコンピュータの理解できる言葉に寄り添ってきましたが、コンピュータが人間の言葉に歩み寄ってきているのです。
しかし、「高度な電卓が使えるからといって、経営判断に資する財務分析資料を作れるわけではない」のと同じように、「AIでコードが書けるからといって、素晴らしいシステムが作れるわけではない」ということも事実として存在します。
システムは作るより、運用し続ける方が難しいからです。
AIは、人間が指示したものを指示した通りにしか作りません。
多少の具体化はしてくれますが、そこに「なぜこのシステムが必要なのか」「この機能は本当にユーザーの課題を解決するのか」という哲学はありません。
これからの時代、ただ手を動かしてコードを書くだけの「作業者としてのプログラマ」は、確実にその役割をAIに譲ることになります。
代わって求められるのは、単なるコーディング能力を超えた「システムアーキテクト」としての能力です。
具体的には、以下の3つの要素が不可欠になるでしょう。
第一に、「課題発見能力」です。
AIは何を作るべきかを教えてはくれません。
現場の痛みを吸い上げ、ビジネス上のボトルネックがどこにあるのかを特定する。
これは人間にしかできない、最も価値の高いプロセスです。
第二に、「論理的な言語化能力」です。
AIに指示を出すには、曖昧な感情ではなく、ロジカルに目的と要件を定義する必要があります。
何を、いつ、誰が、どのように使うのか。
この設計図をシステムの枠を超えて描く力こそが、新しい時代のプログラミングスキルと言えます。
第三に、「結果の検証と責任」です。
「仮説→実行→検証→仕組化」というPDCA-Sのサイクルにおいて、AIが担えるのは「実行」の一部に過ぎません。
その実行結果が本当に正しいのかを検証し、社会的な責任を持ってリリースを判断するのは、常に人間でなければなりません。
テクノロジーの進化は、私たちから「作業」を奪いますが、同時に「創造」の時間を与えてくれます。
AIによってプログラミングのハードルが下がった今、真に問われているのは「何を作るか」という構想力と、それをビジネスの仕組みとして完成させる責任感にシフトしていきます。
自社に開発組織を携えている企業は、この観点での組織づくりに早めに着手しておくべきです。
それこそが、そろばんや暗算に代わる、新たな価値となっていくでしょうから。
それでは皆さん、今週もよい一週間をお過ごしください。
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