おはようございます。
Life Quest Allianceの福永です。
急に暑くなってきましたね。
皆さん、熱中症にはくれぐれもお気をつけください。
この暑さで、今年初めてエアコンをつけたのですが、まったく冷たい風が出てきません。
「あれ、壊れたかな?」と思って、販売店に足を運び、修理を依頼しました。
すると、対応してくれたのは、おそらく新卒の若い店員さん。
開口一番、彼はこう言いました。
「修理は基本、持ち込みなんですが」
「……エアコンを取り外して持って来いと?」
と言いたい気持ちをグッとこらえて黙っていると、彼も何かおかしいと気づいたようで、先輩社員を呼んで対応を交代してくれました。
きっと、修理受付のマニュアルに「まず現物を確認する」みたいな文言があったのでしょうね。
そのマニュアル、社員の成長を止めていませんか?
業務マニュアルの目的は何でしょうか。
多くの方が「誰でも同じ品質で業務を行えるようにするため」と答えるはずです。
それはまさにその通りで、特に人員の入れ替わりが多い職場や、属人化のリスクが高い業務では、マニュアル化は組織の生命線とも言える仕組みです。
しかし、マニュアルに過剰に頼りすぎると、逆に人の成長を妨げ、現場の対応力を奪ってしまうこともあります。
「マニュアルに書いてないのでできません」
「前例がないからできません」
そんな声を聞いたことはないでしょうか。
このような状態では、仕事はまるでプログラムされたロボットのように形式的になり、人間がやる必要性が薄れてしまいます。
実際、「マニュアルを作ると、それしかできなくなるから嫌だ」という否定的な意見は、こうした型にはまりすぎるリスクを背景にしていることが多くあります。
しかし、私が楽天のシステムを運用していたとき、あまりの運用の多さに取り組んだのが、業務のマニュアル化でした。
よくある運用の対応手順をまとめ、誰でも一定の品質で対応できるようにしました。
結果として、個々の負荷は大きく軽減し、チームの生産性も向上しました。
新人でもマニュアルさえあれば、一通りの業務をすぐにこなせるようになります。
本人にとっても「役に立てている」という実感がすぐに持てるため、仕事へのモチベーションが上がるという好循環が生まれます。
マニュアルをうまく使えば、会社にとっても社員にとってもWin-Winな状態を作れるのです。
では、なぜマニュアルが人間の成長や創造性を妨げるのでしょうか。
その鍵は、マニュアルの細かさにあります。
あまりにも細かく手順を規定してしまうと、変化や例外に対応しづらくなります。
業務の中には、毎回微妙に異なる状況判断を求められるものも多く存在します。
これを一つひとつマニュアル化することは現実的ではありませんし、むしろ現場の柔軟性を損なう恐れがあります。
では、どのようにマニュアルを設計すればよいのでしょうか。
私が実践してきた方法は、「最低限の品質を担保するための要件だけを明記し、やり方は作業者に委ねる」というスタイルです。
何をやるか、なぜそれが必要かを明確にしたうえで、「どうやるか」は各人の判断と創意工夫に任せるのです。
たとえば、飲食店でお客様から「料理がなかなか来ない」というクレームがあった場合、マニュアルには「厨房に状況を確認し、お客様に説明する」といった対応の流れが書かれているとします。
ですが、「どのように説明するか」までは細かく規定しないなどです。
その部分は、スタッフの経験やその場の雰囲気に応じて判断してもらうのがよいのです。
たとえば、「ただいま確認しておりますので、少々お待ちください」と言うのか、「申し訳ありません、すぐに確認してまいります」と言うのかは、お客様のテンションによっても異なるでしょう。
こうすることで、スタッフは「どう伝えるか」を自分で考えるようになり、自主性や責任感が育まれますし、接客スキルも自然と磨かれていきます。
こうした設計は、人の成長意欲を刺激します。
「もっと効率的にできないか」「より良い方法はないか」と考える余地が生まれるからです。
これにより、自然と熟練の技が磨かれ、組織全体の底上げにもつながります。
一方で、人の判断が介在する余地がない程の単純作業については、いっそのこと自動化してしまう方が効率的です。
自動化できない、あるいは判断が必要な領域こそ、人間の創造性が活きる場であり、そのためにバランスの良いマニュアルが求められます。
マニュアルは、業務を標準化し、人の成長を支える道具です。
マニュアルという仕組みの活かし方次第で、仕事の質も、人の成長も、大きく変わってきます。
その観点で、マニュアル作りを考えてみてください。
あなたの会社にマニュアルはありますか?
もしなければ、一度マニュアル作りを検討してみると、会社も社員も成長するよい機会になると思います。
それでは皆さん、今週もよい一週間をお過ごしください。
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